「見える化は何のため」
先ごろ、事務所と工場とをつなぐスペースの壁に、3x6サイズのホワイトボードを掲げました。全社員の顔写真をハガキの半分くらいのサイズで並べて、仲間の顔を一望できるようにすることが狙いでした。
表情がしっかりと見て取れるサイズなので、画像にも少々こだわりました。写真店でアルバイトをしている大学生の姪っ子を駆り出して、全社員をひとりずつ撮影。制服と帽子も清潔感と統一感を大切にして。
そもそも顔写真での組織図は、東北地方の超優良企業I社の社長室でみた壁面のモノマネでした。何カ所もの営業所の社員さんたちの顔を、一面に貼りだした壁に釘付けになったのは2年も前のことです。いつかは当社もと思いながら、なぜこれだけ時間がかかったのかは大いなる反省材料ではありますが、それでも当社なりの工夫として、社長が神輿にのっかるピラミッドではなく、逆三角形の配置にしました。
それからひと月も経たない、先週のこと。ご縁をいただいた同じセミナーで、I社長の姿を見かけました。思わず駆け寄った私は、社長室の顔写真組織図の案を拝借した旨を伝えました。これで全社員の顔と名前が一致するようになりましたと。すかさず、I社長いわく、
「顔と名前を一致させるくらい、中小企業ではあたりまえだべ。おれっちの狙いは、彼らを次にどのように配置して、組織と個人とを成長させるかを常日頃から考えておくためさ。」ガツンといかれました。狙いはもっと深く、そして高い次元にあったのです。
形から入ったつもりが、まだまだ守破離の守すら不完全でした。この夏、年配のベテラン社員が二人退職されることもあり、社員の平均年齢はさらにググッと下がります。今があって、未来がある。社員ひとりひとりの成長の象徴となることを願い、この顔写真の組織図をしっかりと活用していきたいと思うのです。