「夢は何ですかと聞かれることが、この世で一番怖く思えた」（長渕剛　Myselfより）

高校時代から途切れることなく聴き続けている彼の歌の中でも、心を揺さぶってやまないフレーズの一つだ。「だからまっすぐ、まっすぐ、もっとまっすぐ生きてえ」と続く。書きながらほんとうに目頭の含水率が上がる。ただのブログなのに、やばいなあ。

「夢」よりもっと気軽に聞かれる「何ですか」がある。「趣味は何ですか」。いまボクは、自転車と答える。「ロードバイクですか」と聞かれると、「10年前はレースにも出たけど、今はクロスバイクに乗り換えた」と答える。闘争心を掻き立てるためではなく、心地よい風に吹かれたいからだ。事実、今朝も一時間ばかり走ってやった。

自転車はいい。ペダルを小気味よく回すと、足つぼマッサージに匹敵する効果がある。血流が勢いよく、血管を押し広げながら昇ってくる。横たわって耳を澄ますと、血潮がせせらぎのように、ほんとうにその音が聴こえる。酸素と結びついたヘモグロビンが脳みそへとたどり着くと、頭の回転がスムースになる。錯覚であったとしても、効果としてはそれで十分だ。軽く汗をかくことの爽快さと併せた運動の対価は、マッサージに通う人に詳しく説明してあげたくなる。

いまボクは、「趣味は何ですか」と聞かれることがあまり怖くない。お百姓さんには申し訳ないが、灼熱のシーズンが来るまで、このカラ梅雨を存分に楽しんでやろうと思う。