守破離と主端利(しゅはり)
守破離という言葉があります。新しいことを始めるときは、まず師の教えをひたすら守り、そこに我流を持ち込まない。まずは徹底して基本、すなわち成功者のやり方を身に着けることに専念する(守)。そしてよほどその基本が確立したならば、少しだけ自分のオリジナリティを加え(破)、そこに他人が認める価値が出てきたならば、自らの道を確立せよ(離)という手順を教えたものですね。
私たちの会社は合板の加工を生業としています。お客様のご要望にお応えする加工のために、調達し販売する材料や製品を仮に主材と位置付けますと、製造の過程で端材が発生します。歩留りの向上を目指して減らすことに努めるのですが、どうしてもゼロにはなりません。処理のための時間と経費を投入しながらも、いずれは工場敷地から追い出さねばなりません。
この端材が、何か利を生むようにできないか。およそ工場に訪れられた方は、その量を見るにつけ、もったいない思いにかられ、「何か使い途はないものか」というご質問をよくいただきます。端材がそれなりの付加価値を産む具体例をどのように積み上げていけばいいのでしょうか。そこにはできない理由が山のように横たわっています。
守破離との語呂合わせですが、主端利という造語が浮かびました。
主材から出た端材を、利材へと。師から離れてオリジナルな道を確立するのが、いかに難しいかをこの例が教えてくれているかのようです。まずは基本に忠実に、今ある仕事を確実にこなすべし。そしていつの日か、端材が利材へと生まれ変わる日が来ることを信じたいものです。