PRESIDENT社長ブログ

21号のあと 24号のまえ

日本列島を、それこそ月イチ以上のペースで襲い来る自然の脅威。その前には、あまりにも無力な人間の営み。今回は直撃でなくてよかったと胸をなで下ろしても、それは隣町の悲劇なのかもしれない。

これまで自分の育った大阪府岸和田市は、災害とは無縁の町だと根拠もなく思い込んでいた。半世紀におよぶその刷り込みが、現在のショックを増幅しているようだ。

果たして、9月4日。台風21号はぼくたちの工場を直撃した。関西空港連絡橋にタンカーを衝突させ、世界を震撼させた突風は、そのまま南から大阪湾に沿って吹きつけ、当社の工場荷捌き地のスチール屋根をめくりあげたのだ。

無数の飛来物は、工場のスレート屋根に星をちりばめてプラネタリウムにした。大切な合板たちは、バケツの底が抜けたようなシャワーを浴びてずぶ濡れになった。

けれど、ぼくたちは立ち上がった。停電の間は片づけや再稼働に向けた下準備をしてぐっとこらえていた。そして3日後、再び電気が通った瞬間、オフィスと工場は歓喜に湧いた。その翌朝。あらかじめ稼働日に振り替えた土曜の工場で響いた合板を切る音、鋸と擦れてただよう木の香りにこんなにもしびれた記憶はない。多くの方々のご支援を得て、ブルーシートやつぎはぎのスレートがぼくたちの屋根を守ってくれている。工場が稼働して日常が少しずつ戻る。そして25日が経過した。

本日、9月29日。台風24号がまたこちらに向かっている。傷つき打ちのめされた工場に、可能な限りの手当てをして備える。やがてやってくる恐怖の数時間をやり過ごすために、まる一日かけて機械や材料を濡らさないように最善を尽くした。

ぼくたちは、神様に試されているのだろうか。そんなことを考えながらも確信する。越えられない山はないし、解決できない問題も存在しない。「また台風ですか」と脱力する前に、解決に向けて努力できることに感謝しよう。ましてや今回は、前回の教訓もある。

社員みんなの力を借りて、なすべきことをなした。あとは木の神様にお祈りしよう。10月1日に目の前に広がる光景は、その時になるまでわからない。いかなる事実でも、ぼくたちはそれを受け止めて、前に進むことができるのだから。

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